手洗いとマスクで感染症のリスクを下げよう

災害が起こったときには、いろいろ対応しなければいけないことが多く、感染予防に気をつかっている場合ではないのかもしれません。しかし、ちょっとしたことで感染症の危険性をなんと1/5以下にさげることが可能なんです。

それは、たった2つ、「手洗い」と「マスク」です。いろいろな施設の入り口に置いてあるポンプ式アルコール消毒剤が「手洗い」に理想ですが、完全ではなくても使い捨ておしぼりで感染のリスクを下げることが可能です。今では個別包装された消毒用アルコールが含まれた使い捨ておしぼりが売られていますので、避難用バックに入れておくことをお勧めします。

次に「マスク」ですが、最近では手術時に使う医療用サージカルマスクや顔によくフィットするマスクも市販されています。こちらもかなりコンパクトに包装されていますので、1人最低10枚くらいを災害避難バックに忍ばせておけば、支援物資が持ち込まれるまでのひどい時期を乗り越えることができるでしょう。

手を含めて私たちの身体は皮膚でおおわれており、傷がない限り、感染できる微生物はほとんどいません。ではどこから感染が起こるのでしょうか。一般的には感染は粘膜から起こると考えられています。その中でももっとも外と接しているのが、鼻と口です。そして鼻と口に細菌やウイルスを持っていくのは、実は自分の手です。例えば、階段の手すり、エレベータのボタン、すべて誰かが触っています。また、くしゃみや咳をすれば唾液は小さな水滴となって数メートルに広がりますのでテーブルの上も安全ではありません。かといって何かに触るたびに手を洗っていたのでは大変です。そこでマスクの登場です。マスクをすることで、口元がかゆくても、恥ずかしくて鼻に手を持っていくにしても、マスクがガードしてくれます。ですから、マスクは常時つけて置き、食事などマスクを外す前に手を洗うのがこつです。マスクと手洗いをセットで考えましょう。

一方で、具合いの悪い人もマスクをすることで他の人に感染させるリスクを下げることができます。お互いにマスクをすることで感染の広がりを抑えることが可能です。

最後にもう一つ大事なことがあります。災害が起こったときに急にできるでしょうか?そうです、災害がなくても習慣にしてしまうことです。これによってかぜなどをひくことが、毎年2-3回だった人であれば、2年に1回になります。魅力的ではありませんか?

文責: 児玉 栄一
災害医学研究部門 災害感染症学分野 教授

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